嘘つきシンデレラ〜地味男を選んだら、俺様御曹司に溺愛されました〜

 ──『お一人ですか?』

 あの日。婚活パーティーなどという場で、誰にも見向きもされないような格好をしていた自分に、彼女は声をかけてきた。あまつさえ利用することを悪びれもせず、それどころか嫌味に「ありがとうございます」などと返してきた、変な女。

 素顔を晒してからも、こちらがどれだけ強引に迫っても「無し寄りの無しです」などと言い切った。

(顔が良すぎてフラれるって、どういう状況だよ)

 自分の容姿がどれほど恵まれているかは自覚している。むしろ、この顔につられて言い寄ってくる女なら、掃いて捨てるほどいた。

 それでも星南は、身分を明かしても靡かないどころか、どれだけ誘ってもデートにすら応じようとはしなかった。

 追われ続ける人生だった自分が、まさか追いかける側に回るとは、思いもしなかった。

 だからこそ、なのかもしれない。

 昔から、大人しく従順な女にはどうにも興味が持てなかった。顔や肩書に媚びて、ただ言いなりになるだけの女なんて最初から眼中にない。

 愛情深くも、時折恐ろしいほど気の強い母を見て育ったせいなのか。はたまたそんな母に惚れ込み、政略結婚という形で無理やり妻に収めた父親の血を色濃く受け継いだのか。

 とにかく、簡単に手に入らない女だからこそ、欲しくなった。

 かつてのトラウマの元凶にも毅然と接し、己の力で跳ねのける気の強さも。そのために自分を利用し、「結婚」すら材料にする強かさも、何もかもが朔夜の心を強く惹きつけた。

 今日この日に、今までの恋人未満のような関係に決着をつけるつもりだった。だからこそ、それすらぶち壊してきた星南の予想外の行動に、ますますこの女しかいないと思った。

 全くもって思い通りにならなかった女が、ようやく自らの領域に飛び込んできたのだ。

 ならば、もう遠慮する理由はない。

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