バツイチ×未経験の私は、初恋の豪腕弁護士から極甘に溺愛される
第20話:万事順調……?
「おはよう」
「……お、はよう、ございます」
とろとろとまどろみながら目を開けると、すぐ間近に鷹木の端正な顔があった。
ぼんやりとしていた脳みそが一気に目覚める。
「い、いつから起きて……?」
「ん、三十分くらい前かな。詩織の寝顔が可愛くて見てたら、あっという間に時間が経っちゃった」
鷹木は悪びれもせず、ふにゃりと目元を緩めて微笑んだ。そのまま、そっと詩織の目元へと長く綺麗な指を這わせる。
お気に入りのマフラーの手触りを丁寧に確認する時のような、この上なく慎重で優しい手つきで、詩織の頬の曲線をなぞり、撫で上げた。
むず痒いような気恥ずかしさに襲われ、詩織はたまらず掛け布団をぐっと引き上げる。鼻先まで顔を隠した。
鷹木は声を立てて笑い、上掛けごと、詩織の身体を抱きしめる。
「わ、美味しそう」
バスルームから出ると、ダイニングセットのテーブルに、色鮮やかなモーニングの皿が並べられていた。
「ルームサービスにしたよ。ビュッフェも悪くないけれど、今日は部屋で二人きりの食事の方が良いかなと思って」
鷹木がすっと椅子を引いてくれる。
「ありがとうございます。嬉しい」
詩織は少しはにかみながら椅子に腰を下ろした。痛みはないが、腰の辺りにかすかな違和感が残っている。彼に深く愛されたという確かな余韻だ。
部屋で食事ができるのは、今の詩織にとって本当に有り難かった。
詩織が腰を下ろすと、顔を寄せた鷹木が頬にキスを落とす。
こちらの身体の調子も気恥ずかしさも、すべてを見透かされているようだ。
大切に扱われている嬉しさと、すべてを暴かれている恥ずかしさが混ざり合い、胸の奥が甘くうずく。
窓から降り注ぐ光に包まれながら、ふわふわとした心地よい朝が過ぎていった。
ほんの少し前、元夫の暗い影に怯え、暴力に倒れ伏した日があった。それが、遠い幻だったかのように思える。
これ以上の幸せが、この先の人生にあるのだろうか。
鷹木がベーコンを口へと運ぶ。
美味しそうに食べる時の表情、ナイフを器用に動かす所作の美しい長い指先、シャツの袖から覗く逞しい腕。そして、こちらがじっと見つめている視線に気づくと、すぐに嬉しそうに目を細めてくれる、その笑顔。
頭が良くて隙のない彼も、誰よりも頼り甲斐のある彼も、こうして時折見せる子供のように可愛らしい彼も、そのすべての姿が等しく愛おしい。
詩織も胸の奥から溢れる想いを隠すことなく、同じようにとろけた笑顔を彼に返した。
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