バツイチ×未経験の私は、初恋の豪腕弁護士から極甘に溺愛される
「虐待疑惑のあった別件の高齢者施設、その写真を転用したな。便利な時代だ。AIですぐ判別できた。おかげで会社も即時に対応してくれた。……恣意的なねつ造記事の投稿、これは犯罪だぞ。業務営業妨害、名誉棄損で訴えられる。それに、詩織の家族に対する脅しも、立派な脅迫だ」
低く、地を這うような鷹木の重い声が、夜の冷たい空気を大きく揺らす。
その迫力に、麗子は追い詰められたように引きつった笑いを浮かべ始めた。
「……ふっ、ふっははははは! だったら何よ!」
麗子は狂ったように叫ぶ。
「ふん、ちょっと顔が良くて頭が良いからって、アンタみたいな奴、いつでも捻りつぶせるんだから! 私のパパを誰だと思ってるの!」
「西園寺判事だ」
「そうよ。あんた、弁護士を辞めたいの? 私に逆らったら潰されるかも。謝るなら今のうちよ」
鷹木は何も答えることなく、真っ直ぐに麗子を鋭い視線で睨みつけた。
「ほら。せっかく弁護士になったんだもの。最高潮を目指したいでしょう? 今なら間に合うわ。そうね、その女の前で私を抱きしめて。一生私に従うことを選ぶなら、許してあげるわ。ねえ、慧さん……」
麗子はねっとりとした足取りで歩み寄ると、その手を鷹木の胸元へと這わせた。甘ったるく粘り気のある声が、周囲の空気をじっとりと包み込んでいく。
鷹木はその動きを冷ややかに見つめると、自らの手で麗子の手をそっと掴み、拒絶するように無造作に払いのけた。
「お断りだ」
「……このっ潰してやる! あんたたち二人とも、二度と生きていけないくらいに叩きのめしてやる!」
髪を振り乱して叫ぶ麗子の声が、誰もいない駅前に空しく響き渡る。
「……ほう。どうやってだ?」
麗子が立っている場所の、さらに何メートルも後ろ。
ロータリーの暗がりの中から、聞いたことのない、しかし酷く重みのある男の声が静かに響いた。