バツイチ×未経験の私は、初恋の豪腕弁護士から極甘に溺愛される
詩織もまた、告白した。
実はあの日、有希と食事したのが同じホテルだったこと。酔い覚ましに一人で庭を散歩していたら、偶然、二人を見つけてしまったこと。
「暗がりだけど、慧さんだってすぐにわかりました。もしかしたら嘘をつかれたのかって不安になっちゃって、それで……」
「客間で寝るって言ってた日か」
「ごめんなさい。慧さんが嘘つくはずないのに」
しゅんと肩を落として俯く詩織の頬に、鷹木が大きな手をそっと添えた。
促されるように上を向くと、彼の瞳は今にも涙が溢れそうなほど悲しそうに揺れていた。
「ごめん、不安にさせて。詩織のこと、傷つけて」
詩織は小さく首を振った。
彼の顔がゆっくりと近づいてくるのを感じながら、その胸を手でそっと押し留める。
「だめ。まだ私の『ごめんなさい』が終わってません」
詩織は一度、深く息を吸い込んだ。
「言うのが遅くなってごめんなさい。そのすぐ後に、西園寺さんに会ったの。『お見合いをした』『慧さんとキスした』っていうから、どんどん不安になっちゃって」
「有希さんの家に泊まるって、言った日?」
鷹木に尋ねられ、詩織は静かに頷いた。
「彼女の言葉に惑わされずにちゃんと向き合うべきだったのに、慧さんから見捨てられるのが怖くて逃げてました」
そんな弱い自分が嫌だった。
でも、もう逃げないと決めたのだ。
「慧さんの立場を考えたら、パートナーは私じゃない方が良いんだと思います。でも、もう諦められないくらい慧さんが好きなの。慧さんの出世のためだって言われても、わたし、別れたくないって思ったの」
「詩織……」
鷹木の目がじわりと潤む。
「俺、嬉しかった。詩織に、ダメなところも全部好きだって言われたこと。俺の方こそ、詩織の全部が好きだ。可愛いところも、不安になってしまうところも、努力家で芯が強いところも、全部好き」
「慧さん……」
ゆっくりと、二人の唇が重なる。
お互いの存在の確かさを噛み締めるように、何度も、たっぷり味わった。
名残惜しさを感じながら、唇が離れる。
詩織の荒い呼吸は整わない。鷹木は愛おしそうに詩織の頬を指先で撫でると、息が絡みそうなほど近くで囁いた。
「……詩織、約束する。絶対に嘘はつかない。自分にとって不都合なことでも、ちゃんと詩織に話すよ」
「私も。怖いと思っても逃げない。慧さんの前では素直になるわ」
もう一度、深く口付ける。
夜の静寂の中で交わされた、二人だけの、誓いのキスだった。
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