天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない

05「絶対に負けないから」

初めて久保田家を訪れて、ビビっていた。

大きい。

そして庭がある。

お金持ちなんだろうなと思ってはいた。

雰囲気とか。

でも、本当にそうだったんだ。

マリーのことがなかったら、一生かかわり合うことのなかった子たちかもしれないな。

庭を通って、玄関に向かう途中、たくさんのプランターが並んでいた。

今は、マリーゴールドの花はない。

8月1日に満開にするために、つぼみや枝を切り落としたところだ。

マリーの復活まで、1カ月を切っている。

当日が楽しみなのに、終わるのが寂しい。

春くんが電子キーをかざすと、機械音が聞こえてきた。



「どうぞ……母さん、いるんだ」



おしゃれな運動靴が、たたきにちょこんとある。



「お邪魔して大丈夫?」

「それは問題ないよ」



玄関でひそひそと話していると、奥から背の高い女の人がやって来た。

春くんと律くんに似てる。

ううん、千晶さんによく似てる。
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