天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
「はじめまして。森川杏と申します」



緊張しつつも、ぺこりと頭を下げて挨拶をした。



「やっと会えた! うれしいっ」



テンションも千晶さんと似てる。



「春斗、ケーキ買ってきて」

「お茶するために来たわけじゃないから。勉強するの」

「えーっ、せっかく来てくれたのに」

「杏ちゃん、行こ」



春くんが私の腕をつかむ。



「……春斗、待ちなさい。部屋はだめ」

「きれいにしてるから、問題ないよ」

「だめです。リビングで勉強しなさい」



いつもにこにこと笑ってる春くんが、少しイラッとしたような……。



「あのぉ、やっぱり失礼させていただきますね」



親子ケンカの原因が私っぽいので、帰った方がいいだろう。



「だめぇぇぇぇ」



春くんのお母さんに引きずられるように、リビングに連れて行かれた。



「杏ちゃんは、なにも悪くないから。うちの息子がよからぬことを考えてそうだったのを阻止しただけだからね!」

「よからぬこと?」
< 116 / 141 >

この作品をシェア

pagetop