天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
「ちょっと、莉子ちゃん」


さっさと帰ろうとした友達の腕をつかむ。



「杏、修明男子と仲良くなっておいて、損はないわよ。文化祭に行ける」

「別に行きたくない」

「来る? 案内するよ」



久保田先輩のお誘いに、莉子ちゃんの顔がぱぁっと晴れる。



「ぜひお願いします! あっ、久保田先輩って、柔道部のお友達います? 剣道部でもいいです」



深い付き合いだから、友達がここに来た理由が、一瞬でわかってしまった……。



「……いるにはいるけど」

「紹介してくださいっ。できれば大きい人で!」

「う、うん」



ずっとにこにこと笑っていた久保田先輩だけど、さすがに莉子ちゃんの勢いに押されて固まる。

そして、その間に莉子ちゃんはさっさと帰っていってしまった。

三人でその場に取り残された……。



「「「…………」」」



しばらく無言でいたけど、はっと我に返って、慌てて椅子から立ち上がる。



「すみませんっ、私には無理です」



自分のゴミだけ片付けて、その場から逃げた。
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