天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
気づいた彼は、何事もなかったようにスマホをテーブルの上に戻した。
「ひとづてに、杏ちゃんが料理上手だって聞いて」
私と律くんの無言のやりとりを見ていた久保田先輩が、うまく話をはぐらかしてくれた。
よかった。
「ああ、まあ、料理はうまいよね。料理は……」
またそれ。
今日のお弁当でも言われたな。
莉子ちゃんの含みのある視線を感じて、目をそらした。
「ふむふむ、なるほど。怪しくないお話というのは理解しました」
いや、じゅうぶん怪しいでしょ。
「じゃあ、私はこの辺で失礼します。後は、三人でお話くださいませ」