天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
「市民プールで練習してる」

「な、なるほど」



授業終わりに、市民プールまで移動しての練習か。

それは、なかなか大変そうだな。



「小さい頃からスイミングに通ってて、好きなんだ」

「活動日が少ないのも理由のくせに」



久保田先輩が少し怒ったようなフリをすると、律くんはおどけた顔をする。

仲がいい兄弟なんだな。

さっきも、お兄ちゃんのために必死だったし。

一人っ子だから、こういう関係がうらやましい。



「杏ちゃんは、部活は?」

「抹茶(まっちゃ)部です」



週に1回だけのゆるいクラブ。

茶道を学ぶというよりは、お菓子目当てで入ってる子が多い。

もちろん私も。



「女子校っぽくて、かわいいね」

「そんないいものでは……。律くんは?」

「……将棋(しょうぎ)」



テレビで見る棋士(きし)さんみたいに、袴姿になったら、ものすごく似合いそうだな。



「かっこいいね」
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