天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
あんなに迷っていたのがウソのように、するりと言葉が口から出てきた。



「杏……」

「直(なお)くん、いい加減、子離れして」

「でも……」



ぐずぐず言いながら、お父さんは久保田先輩をじっと見た。

そして、にらみつける。



「杏は、まだ嫁には出さないからねっ。清い男女交際しか認めません!」



とんでもない発言に、久保田先輩が目を丸くした。

律くんは口がぽかんと開いている。

タブレットの向こうで、お母さんが大きなため息をつき、私は隣に座っていたお父さんの膝をバチンと叩いた。



「そんなんじゃないから。失礼だよ」

「え? 春斗くんは杏の彼氏じゃないの?」

「ちがう、ちがう」

「え? じゃあ律くんの方?」
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