天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
「それもちがう」



私たちのやり取りを見て、我慢ができなくなったのか、千晶さんがお腹を抱えて笑い出した。



「だから、さっきからずっと春斗をにらんでたんですね。大丈夫ですよ、杏ちゃんに手出しはさせませんから」

「お父さん、久保田先輩たちにも選ぶ権利があるんだから。そんな心配いらないって」

「それも許せんな。杏は世界一かわいいのに」

「あー、はいはい。すみません、親バカな父親で」



頭を下げて謝り、この場をおさめた。

そして、喫茶マリーの一日復活のために動くことを、お父さんからも許可してもらえた。

三人をマンションの下まで見送り、お父さんの失礼な発言を再び謝る。



「子供思いの素敵なお父さんだね」



にらまれた上に、因縁(いんねん)までつけられたのに、久保田先輩は人間ができている。



「え? そうですか。過保護すぎて、頭が痛いです」

「杏ちゃんがかわいいから、仕方がないよ」
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