天才料理少女は、イケメン兄弟の恋心に気づかない
「千晶さんに、赤字でもいいよって言ってもらってるけど、お店屋さんだし。ちゃんとしたいなって思って」

「それ、見せてもらっていい?」



メモ帳には、今いるスーパーだけでなく、近隣のお店のことまで書いてある。

やばい、泣きそう。



「ありがとう」

「引き受けたからには、がんばるよ」



笑う顔を見て、心の中で謝った。

律、ごめん。俺、杏ちゃんが大好きだ。



「この仕事、俺がもらってもいい?」

「春くん、大変じゃない?」

「全然大丈夫。でも俺、品物のよさとかはわからないんだよね。どう見たらいいか、教えてくれる?」

「喜んで」



この後、二人でスーパーを3軒まわった。

そして、改札まで送る。

笑いながら手を振って帰っていく姿を見送った後、駅前の雑貨屋で足が止まった。

アイボリー地に、黄色とオレンジと淡い緑色の細かいチェック柄のシュシュ。

マリーゴールドみたいだなって思った瞬間、手に取ってレジに向かってた。

太陽みたいな杏ちゃんに似合いそう。

浮かれながら家に帰って、玄関を入ってから気づいた。



「春斗! どこまで牛乳と卵を買いに行ってるの」



完全に忘れてたな。
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