天才料理少女は、恋のレシピを知らない
莉子ちゃんってば、さっきは栗色の髪の男の子のことしか言ってなかったけど、黒い髪の子のことも知ってたんだ。
情報網がすごいな。
半分尊敬・半分あきれながら、私はバニラシェイクを吸い込んだ。
「へえ、そんなに俺たちって、清和で知られてるんだ」
「そりゃあ、久保田王子ですからね」
「ぷっ、王子」
律くんが、莉子ちゃんの言葉に反応して、吹き出し笑いをした。
「律くんも、未来の王子様って言われてるよ」
「よかったな、律」
「げっ、最悪」
三人のやり取りを、ポテトを頬ばりながら聞く。
「あっ、こっちは森川杏ね」
勝手に自己紹介をされたので、眉間にしわを寄せて、莉子ちゃんを見た。
こんな怖い人たちに、個人情報を明かさないで欲しい。
文句を言いたいけど、口の中はポテトでいっぱいだ。
「莉子ちゃんと、杏ちゃんだね。よろしく」
「どうぞ末永くよろしくお願いします。で、うちの杏に何のご用でしょう?」