亀を助けたら竜宮城に招待(誘拐)されましたが、私は今幸せです。

亀を助けただけなのに

 社会人の七海は、夏休みを利用して海へ遊びに来ていた。
 傷心に浸りながら、昔家族四人で遊んだ海のことを思い出す。
 そんな七海には家族がいない。三年前の家族旅行で、七海以外みんな死んでしまったからだ。
 家族の四回忌の帰り道、七海は珍しく人気のない海に来ていた。夏なので海に入りたいと思った七海は、サンダルを脱いでちゃぷちゃぷと浜辺で波と戯れる。
 七海が波を蹴ったりしながら楽しんでいると、近くから子供の声が聞こえた。この町の子どもなのか、小さい亀に石を投げたり木の棒でつついたりと悪さをしていたのが目に映る。七海は正義感が強いので、ワルガキ三人を怒った。

「こら! 三人で寄ってたかって小さい亀をいじめるなんてだめだよ!」
「うわー! オバサンが怒りやがったー!」
「な、オバ……!? 私はまだ二十歳のピチピチの女の子です! とにかくいたずらするのをやめなさい!」

 大人に叱られてバツが悪そうな顔をしながら、子ども達は七海に砂をかけながら走り去って行った。

「全く、なんてクソガキなの? あなたも怖かったでしょう、もう大丈夫だからね」

 小さい亀はまるで言葉を話そうとしているかのように、口をパクパクと動かしているようだった。

「さあ、海にお帰り」

 こんな熱い時期に亀が海辺にいるのはおかしいと思ったが、まあそういうこともあるかと深く考えず、亀を手ですくって海へと返した。
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