亀を助けたら竜宮城に招待(誘拐)されましたが、私は今幸せです。
「気をつけてね」

 すると、下の方から声が聞こえた。周りを見渡すが、人っ子一人いない。
 気のせいかと踵を返すと「待ってください!」と少年の声がはっきり耳に届いた。後ろを振り返るが、やはり誰もいない。
 不気味に思った七海はそそくさとその場を離れようとしたが、それは叶わなかった。
 なぜなら、七海の回りを大量の亀が囲っていたからである。

「なにこれ!?」

 亀はみな一様に口をパクパクと動かすが、何をしているのか分からない七海は、亀にサンダルを持って行かれたので急いで追いかけた。
 しかし、サンダルを持った亀は海に入ってしまったので、七海はざぷんと海に入った。Tシャツに短パンだったので服が濡れることはなかったが、足はびっしょりと濡れてしまった。
 亀はどんどん進み、七海はひたすら後を追った。

「ちょっと待ってよー!」

 七海が待ったの声をかけると、下から「恩返しと我が主様の元へご案内させてください」とはっきりと聞こえたのだ。
 夏の暑さのせいでおかしくなったのかと思った七海は、なんだかくらくらしてきた。
 やはり、夏の暑さにやられたらしい。
 七海は意識がぼんやりとしてきて、ぐらりと身体が傾ぐ。
 やばい、倒れると思った時には意識が途切れていた。
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