私のことが好きな彼
「水瀬、お客様案内して」
「はい!すぐ行きます!」
私は22歳になって美容師になった。2年目でスタイリストデビューを目指して修行中。
営業終了後にはとにかく練習。
「おつかれー。今日の歓迎会よろしくー。」と店長から従業員へ伝達された。
「サラ行くでしょ?」同期の土橋すみれから聞かれて「もちろん」と答えた。
すみれとは専門学校が同じでこのサロンで一緒にバイトもしていたからかなり仲がいい。
***
「乾杯!」
店長が抑えてくれた居酒屋で歓迎会をした。
ほどよく盛り上がってきて酔いも回ってきた。
「水瀬、明後日のモデルみつけた?」と隣に座っていたもう一人の同期、林祐樹に話しかけられた。
「うん、見つけた。」
「サラはいつもモデル見つけるの早いよね。
ていうかいつも同じ子。室井くんだっけ?」
「あー、いつもの人か。あの人、水瀬の彼氏?」
「友達、だね。」
学生の時から室井くんはいつも私の練習に付き合ってくれていて
何度もお店に来たことがあるから彼のことをお店の人はみんな知っている。
「なにその曖昧な回答」
「林、気になるでしょ?」
「気になるー。」
「友達だね」と訂正した。
「室井くんのこと本当はどうなの?
ていうかやってることカップルじゃん。
学生のときからそうだったけど授業終わったら迎えにきて一緒に帰るし
バイト終わったら連絡してって言われてわざわざ一緒に帰ったりさ。
家泊まって通学、出勤してきたりさ。」
「だねー。よく言われる。
私が曖昧な関係にしちゃってるのは間違いないね。
でも室井くん彼女いたしそういうことするだけの女の子もいたし私も彼氏いたことあったしね。」
室井くんは私のことが好きだと言いながら他の女の子のことを抱く。
「でもそういうのはサラとはないんでしょ?」
「ないね。手も繋いだことないしねー。でももう今更、室井くんに言えないよ。」
私のほうが室井くんのこと好きって気づいてしまったんだから。
いつも私のことを一番に考えていてくれてそれに一緒にいて落ち着くし楽しい。
でもふとした瞬間にドキドキもする。
「気が強そうにみえて意外と小心者だよね、サラ。」
「室井くんにもよく言われる」
手元にあったハイボールを一気に飲んでおかわりをした。
「水瀬大丈夫?飲み過ぎじゃ…」
「は?大丈夫だし!林も飲もうー!」
そのあとの記憶はない。


