「氷の天才外科医の激甘な課題添削」 冷徹な外科部長は難攻不落の愛し君だけに甘く狂う
凛はその切なく不器用な情熱を思うと、胸の奥がキュッと締めつけられるような不思議な感情が湧き上がってくるのを、拒みきれずにいた。

​その時、背後から足音が近づいてきた。

凛が振り返ると、当直服の上に白衣を羽織った桐生が立っていた。

黒いシャツの袖を捲り上げ、切れ長の琥珀色の瞳は静かな光をたたえている。

​「……桜井。夜間の定期巡回は完了したか」

「はい、桐生副医局長。全病室のバイタルチェックおよび点滴の管理、異常ありません」
​
凛は素早く立ち上がり、姿勢を正して報告した。

桐生は凛の顔を静かに見下ろした。

その視線は、冷徹な指導医の面影を被りつつも、凛の目の下の微かな陰りを見逃さずに捉えていた。

​「……無理をするなと言ったはずだ。顔色があまり良くない」

​「問題ありません。仕事に支障はきたしません」

​
< 68 / 96 >

この作品をシェア

pagetop