「氷の天才外科医の激甘な課題添削」 冷徹な外科部長は難攻不落の愛し君だけに甘く狂う
背筋をピンと伸ばしたまま、まっすぐに桐生の切れ長で冷たい瞳を見返した。

​「いいえ。桐生副医局長の手技に遅れず追従するため、計算の上で保った最短距離です。患者様の缺血時間を1秒でも短縮することが第1優先だと判断いたしました。問題がありましたか」

​一切の動揺もない、凛とした正論だった。

​言葉の端々にも、表情にも、桐生に対する怯えはカケラも存在しなかった。

ただひたすらに、「現場での最善」をロジカルに証明してみせたのだ。

​桐生は心の中で小さく息を呑んだ。

​(……相変わらず、少しの隙も見せないな)

​ペーパータオルをゴミ箱へ捨てる桐生の手が一瞬止まる。

実は、桐生はこのひたむきで強い芯を持つ新米看護師に、とっくの昔に心を奪われていた。

​半年前、凛がこの心臓血管外科に配属されてきた初日のこと。

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