「氷の天才外科医の激甘な課題添削」 冷徹な外科部長は難攻不落の愛し君だけに甘く狂う
「……大動脈弓部から下行大動脈にかけて偽腔(ぎくう)が激しく拡大している。上行大動脈にも解離が波及しているな。スタンフォードA型急性大動脈解離、および心タンポナーデだ」

​初診室にいた医師や看護師たちの顔から、一斉に血の気が引いた。

​スタンフォードA型大動脈解離。

しかも心臓を包む心膜の中に血液が急速に溜まり、心臓を外部から圧迫して動きを止めようとしている心タンポナーデの併発。

放置すれば致死率は1時間ごとに数%ずつ上昇し、数分以内に心停止へ至る、最高難度の緊急事態だった。

​「ただちに第2手術室を確保! 人工心肺を立ち上げろ! 心臓血管外科の全スタッフを緊急招集!」

​「桐生先生、執刀は……!?」

研修医が震える声で尋ねた。

​「俺が執刀する。……ファーストナースは、桜井」

​その場にいたベテラン看護師たちが一斉に息を呑んだ。

​「桐生副医局長! この超緊急オペに、1年目の桜井をつけるなんて危険すぎます。主任クラスをつけるべきです」

​
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