色褪せて、着色して。Ⅸ~クレマチス編~
悪役令嬢として警察に捕まるところを。
幼なじみのテイリーに助けられ、この国にやって来た。
別人として生きるも、わずかな期間で。
今度は、ティルレット王国のお姫様として王家の領地で暮らすことになった。
王家が暮らす宮殿の近くには、国家騎士の施設があり。
更に、王家に関係する人々が暮らす村が3つある。
私が住んでいる家から少し離れたところに、秘密の館という館があって。
そこでは、13~15歳の男の子たちがお手伝いとして働いている。
かつて、そこで知り合った男の子たちと仲良くなったけど。
彼らはもう、ここにはいない。
「ごきげんよう」
バニラが声を張って言う。
しばらくすると、玄関の扉が少しだけ空いた。
「マヒル様の侍女でバニラと申します。至急、ユキ様にお会いしたいのですが」
後ろ姿でも、バニラが怒りに満ち溢れているのがわかる。
馬車の前で立ち尽くしていると。
バニラがくるりと振り返った。
「暫く待ってくれとのことです。マヒル様、馬車でお待ちくださいな」
「あー…いや。ここで待つよ」
唾を吐かれた後のバニラの行動は早かった。
どう見ても、人間とは思えない速度で、男の子を縄で縛り付け。
「スズメ様、馬車のご用意を」
と冷たく言い放った。
「マヒル様、お顔を洗いませんと…」
タオルでそっと私の顔を拭いてくれた。
バニラは冷静に言ったつもりだったが。
怒りのオーラと共に。
額に青筋が浮かび上がっているのが見えてしまった。
「マヒル様。わたくし、何でもしますからね」
「えっ」
「人一人ぐらい消すことなど…」
「いやいやいや。やめてー」
それ以上、聴くのは絶対に駄目だ。
バニラはテイリーの侍女だった。
妖精族は王族に保護される形で生活しており。
滅多なことで人目に出ることはなかった。
童話に登場するような、羽根がはえていて。
不思議な力をもっている…というイメージがある妖精だけど。
実際のところは、人間以上に力があるのではないかと推測する。
秘密の館の前で待つこと数分。
「どうされました?」
と言って出てきたのは、秘密の館で暮らすユキ様だ。
ユキ様は私と同じ海外の人間で。
恐らくだろうけど、元国家騎士。
秘密の館で働く男の子たちを雇っているのは、ユキ様である。
彫の深いユキ様の顔を見ながら。
バニラがとんでもないことを言うのではないかとハラハラする。
「スズメ様。こちらへ」
一段と冷たく言い放つバニラはスズメに合図すると。
スズメは拘束した男の子をユキ様の前に立たせた。
「ユキ様。こちらのお手伝いの人間を拘束してしまい申し訳ございません」
「……」
ユキ様は驚いた表情で、じっと男の子を見ている。
「ですが、こちらの方は我が家に侵入しようとした挙句、わがあるじの顔に唾を吐きましたの」
これが、どういうことを意味しているのかわかってんのか?
バニラの後ろ姿は、そう言っていた。
「ポポが? おい、本当か」
冷静なユキ様がポポと呼ばれる男の子の肩をつかむ。
男の子はぷいっと横を向いて、ユキ様とは目を合わせないようにした。
「他人のおうちに口を出すのは失礼ですが、もう一つ言われせていただきます」
少なからずショックを受けているユキ様に。
バニラは声のボリュームをあげて言った。
「こちらの方は、男の子の格好されていますが。女の子ですわ」
「え…」
ユキ様の白い顔が青くなっていく。
拘束された男の子は睨みつけるようにバニラを見たが。
バニラはめらめらと燃える目で男の子を睨み返していた。
幼なじみのテイリーに助けられ、この国にやって来た。
別人として生きるも、わずかな期間で。
今度は、ティルレット王国のお姫様として王家の領地で暮らすことになった。
王家が暮らす宮殿の近くには、国家騎士の施設があり。
更に、王家に関係する人々が暮らす村が3つある。
私が住んでいる家から少し離れたところに、秘密の館という館があって。
そこでは、13~15歳の男の子たちがお手伝いとして働いている。
かつて、そこで知り合った男の子たちと仲良くなったけど。
彼らはもう、ここにはいない。
「ごきげんよう」
バニラが声を張って言う。
しばらくすると、玄関の扉が少しだけ空いた。
「マヒル様の侍女でバニラと申します。至急、ユキ様にお会いしたいのですが」
後ろ姿でも、バニラが怒りに満ち溢れているのがわかる。
馬車の前で立ち尽くしていると。
バニラがくるりと振り返った。
「暫く待ってくれとのことです。マヒル様、馬車でお待ちくださいな」
「あー…いや。ここで待つよ」
唾を吐かれた後のバニラの行動は早かった。
どう見ても、人間とは思えない速度で、男の子を縄で縛り付け。
「スズメ様、馬車のご用意を」
と冷たく言い放った。
「マヒル様、お顔を洗いませんと…」
タオルでそっと私の顔を拭いてくれた。
バニラは冷静に言ったつもりだったが。
怒りのオーラと共に。
額に青筋が浮かび上がっているのが見えてしまった。
「マヒル様。わたくし、何でもしますからね」
「えっ」
「人一人ぐらい消すことなど…」
「いやいやいや。やめてー」
それ以上、聴くのは絶対に駄目だ。
バニラはテイリーの侍女だった。
妖精族は王族に保護される形で生活しており。
滅多なことで人目に出ることはなかった。
童話に登場するような、羽根がはえていて。
不思議な力をもっている…というイメージがある妖精だけど。
実際のところは、人間以上に力があるのではないかと推測する。
秘密の館の前で待つこと数分。
「どうされました?」
と言って出てきたのは、秘密の館で暮らすユキ様だ。
ユキ様は私と同じ海外の人間で。
恐らくだろうけど、元国家騎士。
秘密の館で働く男の子たちを雇っているのは、ユキ様である。
彫の深いユキ様の顔を見ながら。
バニラがとんでもないことを言うのではないかとハラハラする。
「スズメ様。こちらへ」
一段と冷たく言い放つバニラはスズメに合図すると。
スズメは拘束した男の子をユキ様の前に立たせた。
「ユキ様。こちらのお手伝いの人間を拘束してしまい申し訳ございません」
「……」
ユキ様は驚いた表情で、じっと男の子を見ている。
「ですが、こちらの方は我が家に侵入しようとした挙句、わがあるじの顔に唾を吐きましたの」
これが、どういうことを意味しているのかわかってんのか?
バニラの後ろ姿は、そう言っていた。
「ポポが? おい、本当か」
冷静なユキ様がポポと呼ばれる男の子の肩をつかむ。
男の子はぷいっと横を向いて、ユキ様とは目を合わせないようにした。
「他人のおうちに口を出すのは失礼ですが、もう一つ言われせていただきます」
少なからずショックを受けているユキ様に。
バニラは声のボリュームをあげて言った。
「こちらの方は、男の子の格好されていますが。女の子ですわ」
「え…」
ユキ様の白い顔が青くなっていく。
拘束された男の子は睨みつけるようにバニラを見たが。
バニラはめらめらと燃える目で男の子を睨み返していた。