学校一の爽やか王子は、私にだけ【一途な独占欲】を隠さない。〜お揃いの指輪とヒミツの放課後〜
ふわり、とすれ違いざまに、
桜の香りに混ざって、爽やかなシトラスの匂いが鼻をかすめる。

一瞬だけ、ひなたくんの綺麗な瞳が、私のほうを向いた気がした。

「……っ」

思わず足が止まって、息をするのも忘れてしまう。
だけどひなたくんは、すぐに何事もなかったように視線を前に戻すと、
そのまま女子たちに囲まれたまま、遠ざかって行ってしまった。

「私のこと、もう……忘れてるよね……?」

ポツリと、誰にも聞こえない声で呟いた言葉が、桜の風に消えていく。
住む世界が違いすぎる彼を見て、私の胸は、張り裂けそうにギュッと痛んだんだ。
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