優しい死神さんと、空気じゃない私

偽り

 その日の玲奈の学校生活では、五限目の世界史の授業中、プロジェクターのスクリーンに一枚の古い絵画が映し出された。

 それは中世ヨーロッパの『魔女狩り』を描いた、どこか不気味な絵だった。

「――このように当時は、見た目や少し変わった振る舞い、あるいは些細な疑問を持たれただけで、無実の女性たちが『魔女』だと決めつけられ、理不尽に命を奪われる事件が繰り返されていたのです」

 教師の淡々とした声を聞きながら、玲奈はぼんやりとスクリーンを眺めていた。

 処刑されようとしている哀れな女性の背景――その暗い空の片隅には、黒いカラスの群れがまるで不吉の象徴のように、びっしりと描き込まれていた。

 生徒の中からは、「誤解で殺されるなんて悲惨だよね」と、どこか他人事のように茶化すような声も聞こえてきた。教師がすぐさまその声に注意を促す。

 玲奈の隣の席では、友人の『マキ』が鉛筆をクルクルと回しながら、他人事だと、呆れてみせていた。

「でもさー。この人たちも、もっと周りに合わせればいいのに、綺麗な容姿で怪しまれるなら、少し汚く見せるとかさー。どうして上手くやれなかったんだろう。玲奈もそう思わない?」

 その言葉は、玲奈の心に重い罪悪感の枷を嵌められたかのように響いた。
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