恋した私の最高到達点
 高校1年生のゴールデンウイーク初日。
 補講になった私は、ヘトヘトの体を引きずって歩いた。

 4階から1階までは意外と遠い。
 息を切らしながらゆっくりと下へ降りていると、何かが破裂するような音が何度も聞こえてきた。

 驚きながらも、知っているその音が鳴る方へと歩いて行った。
重たいはずのないカバンを引き継ぎ、たどり着いた場所は体育館。

 そこには、空を飛ぶ鳥のような彼がいた。

「未乎(みこ)ちゃん!」
「智(とも)くん?」

 元気いっぱいの智くんに、思わず私の頬が緩んだ。

「なんで学校にいんの?今日休みじゃん」
「早速補講になっちゃって」
「仕方ないなぁ。もう帰るの?」

 汗を拭く彼の笑顔が眩しい。
 なんだかそれが悲しくなって、カバンをぎゅっと抱きしめた。

「帰るよ。じゃあね」

 私は彼に背中を向けたが、私の右手は掴まれた。

「俺着替えてくるから待てる?」
「智くんは部活でしょ?今もバレーボールしてるんだね」
「今日は午前練。もう帰るとこだから待ってて。未乎ちゃん顔色悪いよ」

 私は痛いとこを突かれて恥ずかしくなった。
 自分の体が強くない事は、自分がよく知っている。

「待っててよ」

 彼はそう言って、私の返事を待つことなく体育館の中へと吸い込まれていった。

 *

「お待たせ、立てる?」

 体育館のそばの階段に座っていた私は、彼を見上げる。
 
「久しぶりに会ったのにごめんね」
「俺が中学卒業してから全然会ってなかったもんな」

 彼とは、小学校も中学校も一緒だったが、彼の方は2つ年が上。
 中学は1年しかかぶることがなく、男女の壁もありなかなか一緒にいることはなかった。

 そんな私たちに関わりがあるのは、同じマンションに住む幼馴染だからである。
 今日彼が声をかけてくれたも、ただ幼なじみだから。多分それだけ。

「智春(ともはる)!ん?誰、彼女?」
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