冷徹社長はトラウマ秘書を愛で包む
1.唐突なプロポーズ
楠紀沙が苦手なものは、顔のいい男。そして、知るべきではない秘密。
ある秋の朝、満員電車でもみくちゃにされながらスマホで見たのは、明らかに紀沙が知るべきではない、顔のいい男の秘密だった。
――人気俳優、原田慶に熱愛発覚!? お相手はドラマで共演中のグラビアアイドル……。
広告に満ちた画面の中、記事は途切れて相手の名前はわからなかった。けれどスクロールする気力もわかず、紀沙はぼんやりスマホを眺め続ける。画面の下半分を原田慶の画像が占めていた。何かのインタビューで撮られたらしい笑顔はかつて紀沙もよく知っていたもので。
そのとき電車がガタンと揺れ、ずれた指が彼の顔に触れそうになって慌てて手を引く。
「また共演者かぁ」
うつむいて落とした呟きは、電車の轟音と、すし詰めにされたサラリーマンたちの咳払いと、駅への到着を知らせるアナウンスに紛れて消えた。
ある秋の朝、満員電車でもみくちゃにされながらスマホで見たのは、明らかに紀沙が知るべきではない、顔のいい男の秘密だった。
――人気俳優、原田慶に熱愛発覚!? お相手はドラマで共演中のグラビアアイドル……。
広告に満ちた画面の中、記事は途切れて相手の名前はわからなかった。けれどスクロールする気力もわかず、紀沙はぼんやりスマホを眺め続ける。画面の下半分を原田慶の画像が占めていた。何かのインタビューで撮られたらしい笑顔はかつて紀沙もよく知っていたもので。
そのとき電車がガタンと揺れ、ずれた指が彼の顔に触れそうになって慌てて手を引く。
「また共演者かぁ」
うつむいて落とした呟きは、電車の轟音と、すし詰めにされたサラリーマンたちの咳払いと、駅への到着を知らせるアナウンスに紛れて消えた。
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