『Sign』—君との約束はいつまでも色褪せないから
第一章

あの日の約束

【翠side】
 
二〇二五年 四月 中旬。


日比野 翠(ひびの すい)
高校一年生 十五歳。

「日比野さんは小六のとき、修学旅行どこ行ったの?」


私は授業のグループワークで知り合った友達と作業の合間に、昔の思い出話に花を咲かせていた。
 


「えっと……。確か、京都に行ったと思う……」
 

私はどこかぎこちなく答えた。
こういった質問が来ると、いつも胸がもどかしくなる。

 
「そうなんだ〜。京都に行ったってことは、次の日は奈良県にも行ったの?」

「た、多分……」

「多分?」


数人の友達が不思議そうに首をかしげる。


「ご、ごめん……。私、小六のときのことをあまり覚えてなくてさ……」


私は少し誤魔化すようにはにかんだ。
  

――だって、本当のことだから。
周りに嘘をつくわけにはいかない。

 
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