『Sign』—君との約束はいつまでも色褪せないから
机の引き出しから色鉛筆セットを取り出す。
そのとき――あるものに目を留めた。
俺はわずかに複雑な表情を浮かべる。まるで何かを思い詰めているかのように。
そして、引き出しをそっと閉めると、寧々とともにリビングへ向かった。
「にぃに、とら、とら」
「トラジロウね。待ってて、描くから……」
俺は紙に絵を描くものの、母に呼ばれた名前が脳裏から離れなかった。
母は悪気なく、『葵ちゃん』と俺を呼んだ。
けれど、過剰に反応してしまった俺は、まだ過去にしがみついたままなのか……。
もう過去に囚われないと決めたのに。
俺は静かに目を伏せた。
——このまま、何も変化のない毎日を過ごすのが、今は都合がいいのかもしれない。
でも、それはいつまで……?
俺は寧々の要望通りトラジロウを描いた。
だが、その絵にはどこか力がなかった。
