一夜の運命。
「ミアさん、行かないんですか?」

一緒に車から降りたタツさんに声をかけられ

「あ、行く…。」


ゆっくりと足を進める私にタツさんがペースを合わせてくれる。



「…ヒロさんは、守りたいだけです」


先程の会話を聞いていたのか、フォローをしてくれている。


「わかってる。でも…私の知らない顔があって、それがすごく怖く感じる時がある」
「…ヒロさんはあなたを守ると覚悟を決めたのです。あなたも受け入れる覚悟が必要なのでは?」
「っ…」

階段を登り終えて、高級店の扉前でタツさんと向き合っていると
先に入ったヒロがひょこっと顔を出してきた。

「ミア、おいで」
「あ、うん…」


ドアマンにぺこっと会釈をして「お邪魔しまーす…」と恐る恐るお店に入る。



なんとも場違いな気がする。
お店は良い匂いするし、店員さんもモデル並みにスマートで綺麗な方々ばかり。


「ここから…ここまで」
「かしこまりました」
「ミア、試着をしてみて」
「あ、うん…」



手慣れてる…。

まぁ高級車乗り回して、あの豪邸に住んでるもんね。

服がかかったラックを指差して『ここから〜ここまで』とか言ったことない。
ドラマだけの世界だと思ってた。



「うん、いいね。すごく可愛いよ」
「ほんと?お腹違和感ないかな…」
「大丈夫だよ」


何着か試着をして、Aラインベースのドレスを何着か買うことに。
レース生地や刺繍が施されたもの。

うまいことお腹がカバーされて締め付けない。
きっとお店に入る前に店員さんと打ち合わせをしたのだろう。


ほんと、気配り上手。






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