ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜

6-2. 帰ってきたヒーロー

張り詰めた静寂のなか、第3泳者たちが水面を割りながらアンカーゾーンへと迫る。

先行していたのは三年A組だった。半身ほどのリードを保ったまま、三年生の選手がプールエンドの壁へ右手を伸ばす。

パンッ!

東堂貴志が音もなくスタート台を蹴った。

無駄な水しぶきを一切上げず、流れるような滑らかな放物線を描いて水中に滑り込む。天性のバネとしなやかなキック力。

スマートなクロールに、観客席の女子たちから黄色い歓声が沸き上がった。

< 107 / 153 >

この作品をシェア

pagetop