ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜
7-3. 妃菜のささやき
三階の廊下を包み込む夕闇は、容赦なく濃さを増していた。
扉の飾りガラスから漏れる淡い光の筋。そ
の向こう側で、片膝をついた東堂に手を握られ、頬を紅潮させている夏凜の姿が、海斗の網膜に焼き付いて離れない。
指先ひとつ動かせない。
海斗は薄暗い廊下の真ん中で棒立ちになっていた。
プールサイドで触れ合った夏凜の温もり、河原で半分こにしたクレープの甘い匂い、ノートの余白に書き留めたスタイリングの記憶――それら全てが、手のひらをすり抜けて冷たい底へと沈んでいくようだった。
「……あれぇ? 神崎くん、こんなところで何してんの?」
背後から唐突に投げかけられた甘い声に、海斗の肩が小さく跳ねた。
扉の飾りガラスから漏れる淡い光の筋。そ
の向こう側で、片膝をついた東堂に手を握られ、頬を紅潮させている夏凜の姿が、海斗の網膜に焼き付いて離れない。
指先ひとつ動かせない。
海斗は薄暗い廊下の真ん中で棒立ちになっていた。
プールサイドで触れ合った夏凜の温もり、河原で半分こにしたクレープの甘い匂い、ノートの余白に書き留めたスタイリングの記憶――それら全てが、手のひらをすり抜けて冷たい底へと沈んでいくようだった。
「……あれぇ? 神崎くん、こんなところで何してんの?」
背後から唐突に投げかけられた甘い声に、海斗の肩が小さく跳ねた。