ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜
重なり合った手のひらの熱が、今も夏凜の右手にかすかに残っていた。生徒会室での東堂のスカウトを断り、あの約束をちゃんと海斗と結び直さなければならない。


意地もプライドも捨てて、今日こそはきちんと話そう。そう心に決めていた。


「――海斗!」


夏凜は意を決して、渡り廊下の真ん中でその背中に声をかけた。


歩みを止めた海斗が、ゆっくりと振り返る。


けれど、夏凜の胸を射抜いたのは、河原でクレープを半分こした時のあの温かな笑顔でも、プールサイドで見せた柔らかな眼差しでもなかった。


冷ややかに凪いだ、感情の窺えない瞳。


海斗は夏凜と視線がぶつかった瞬間、わずかに眉を寄せ、露骨に視線を斜め下の床へと逸らした。

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