ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜

3-2. 前髪を上げる瞬間

家庭科室の窓ガラスを赤く染め上げていた夕日が、深い紫色のグラデーションへと移り変わっていく。


夏凜は手元の小さな丸型ケースの蓋を、パチンと小気味よい音を立てて開けた。


指先にすくい取ったのは、ツヤを抑えたマットクレイタイプのヘアワックス。


手のひらを擦り合わせ、体温でしっかりと伸ばしていくと、微かに爽やかなシトラスの香りが立ち込めた。




「ちょっと、海斗。パイプ椅子に座って。背筋は伸ばしたまま、顎を少し引いて」


「あ、ああ……」


指示されるがままに腰を下ろした海斗は、緊張のあまり両手を太ももの上に置いて強張らせていた。


夏凜はその正面に立ち、至近距離から海斗を見下ろす。


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