ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜

4-2. 陰からのガッツポーズ

昇降口の隅、二階へ続く中央階段の踊り場の陰から、夏凜は息を潜めて階下の光景を見下ろしていた。


金髪のツインテールを手で軽く押さえ、身を乗り出すようにして下駄箱の列を見つめる。


校舎中を揺るがすようなざわめきの中心にいるのは、昨日まで家庭科室でみっちりとスタイリングを叩き込んだ海斗だった。


(……完璧。文句なしの百点満点よ!)


夏凜は胸の内で叫び、両手をきゅっと握りしめた。


海斗の立ち姿には、昨日までの卑屈な猫背など微塵も残っていない。


第二ボタンまで外した白シャツの抜け感、指二本分低く結ばれたストライプタイの絶妙な立体感。肘下まで綺麗に捲り上げられた袖口から覗く、浅黒く引き締まった前腕の筋。


そして何より、額を大胆に見せた黒髪のセンターパートが、海斗の持つ切れ長の瞳と高い鼻筋の美しさを極限まで引き立てていた。


歩くたびに微かに揺れる毛先と、堂々と開かれた広い肩幅。


無駄な布を削ぎ落とした「引き算の美学」が、中学生とは思えないほどの洗練された色気となって周囲を圧倒している。

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