ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜
(……なんでウチ、こんなに気合い入れてきちゃってんのよ……!)


ただの実地研修、素材の確認のための私服チェックだと自分に言い聞かせてきたはずだった。


それなのに、鏡の前で何度もチークを塗り直し、リップのツヤを確かめ、まるで本物のデートに向かうかのように浮足立っていた自分が恥ずかしくてたまらない。


プール帰りの夕暮れに玉砕した失恋の記憶が、熱い疼きとなって胸の奥をチクチクと刺激していた。


「……夏凜」


不意に、人混みの喧騒をくぐり抜けて、低く落ち着いた声が夏凜の名前を呼んだ。


夏凜が弾かれたように顔を上げた、その瞬間――。


視界に飛び込んできた少年の姿に、夏凜の息が喉の奥で完全に止まった。

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