妹に婚約者を奪われたので、冷酷公爵様のもとで自由に生きます~と思ったら、なぜか溺愛されています~
第一章

1.姉なのだから

 私クロスフォード侯爵家の長女アリシア・クロスフォードには、幼い頃から守ってきた約束がある。

 その約束は一歳下の妹エイミーに関わるものばかりで、私自らに課してきたものだ。

 エイミーを泣かせないこと。

 エイミーが欲しがるものは譲ること。

 エイミーが失敗したら代わりに謝ること。

 そして、どんなに理不尽なことがあっても、決して不満を口にしないことだ。

 そうすれば、いつか両親は自分を見てくれる。エイミーも私を姉として慕ってくれる。そう信じてきた。

 でも、そんなことはなかった。


「アリシア。お前に譲ってもらいたいものがある。もちろんエイミーにだ」

 父の言葉を聞いた瞬間、またかと思った。私は膝の上で両手を強く握りしめる。

 応接室に呼ばれた時から何となく嫌な予感はしていた。

 私の正面には、父と母、そして両親の間に妹が座っている。

 エイミーは愛らしい顔に涙を浮かべていた。実に庇護欲をそそる様だ。

「……譲るものですか?」

「ああ。そうだ」

 父は落ち着いた様子で頷く。

「ヴィクターとの婚約を解消してほしい」

 一瞬、何を言われたのか理解することができなかった。

 だが、涙を浮かべながらもエイミーが頬を赤らめる様子を見て、何となく察する。

 ああ、そういうことなのね。
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