妹に婚約者を奪われたので、冷酷公爵様のもとで自由に生きます~と思ったら、なぜか溺愛されています~

9.二度目の求婚

 ダンスが終わると、アルベール様とともに壁際に下がる。

「少し外の空気を吸わないか?」

「はい」

 アルベール様にエスコートされて向かったのは、大広間に隣接するバルコニーだった。

 涼しい夜風が頬を撫で、ダンスで熱を帯びた肌を心地よく冷ましてくれる。眼下には手入れの行き届いた庭園が広がり、噴水の水面が月明りを受けてきらきらと輝いていた。

「疲れただろう?」

「いいえ。とても楽しいです」

 私は素直に答えた。

「こんなに楽しい夜になるなんて思ってもいませんでした。アルベール様が誘ってくださったおかげです」

「それならば誘った甲斐があった」

 穏やかに微笑むアルベール様にドキリとする。

 不思議な感覚だが、この方と一緒にいると無理に自分を取り繕う必要がない。それでも私に向き合ってもらえる。何でもないことかもしれないが、それがこんなにもうれしいことだとは思わなかった。

「アルベール様」

「何だ?」

「私は自分が何をしたいのか何が好きななのか、まだよく分からないですが、思うとおりに生きてみたいと思っています」

「君ならできるだろう。必要であれば私も手伝おう」

 その迷いのない言葉を素直にうれしいと思った。
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