妹に婚約者を奪われたので、冷酷公爵様のもとで自由に生きます~と思ったら、なぜか溺愛されています~
 こんな風に私自身を望んでくれる人がいる。

 それだけでこんなにも幸せな気持ちになれるのだ。

 私は差し出された手に、自分の手を重ねた。

「……はい。アルベール様、私と結婚してください」

 いつも落ち着いているアルベール様の瞳が驚いたように見開かれて、私の手をそっと握り返してきた。

「……ありがとう、アリシア嬢」

「どうぞ、アリシアと……お呼びください」

 結婚するのであれば、敬称などいらない。

「アリシア、これからは私にも君の人生を一緒に歩ませてほしい」

「はい。私もアルベール様と一緒に歩んでいきたいです」

 私たちはしばらく見つめ合い、どちらからともなく笑った。

 かつての私は誰かに必要とされることばかりを願っていた。役に立てばいつか愛してもらえる。期待に応えればいつか私を見てくれる。そう信じていた。

 だが、それは違う。

 私は私の望む人生を選ぶ。

 そして、その未来にアルベール様がともにいてくれることを、心からうれしいと思っている。

「アリシア」

「はい」

「その……抱きしめてもいいだろうか?」

 突然の問いに私は目を丸くした。

「アリシアが可愛くて……その……抱きしめてみたくなった」

 私はぷっと吹き出した。
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