妹に婚約者を奪われたので、冷酷公爵様のもとで自由に生きます~と思ったら、なぜか溺愛されています~
「これはこの間頼んだ改善案か? もうできたのか。さすがはアリシアだ」

「ええ。そして本日をもって、貴方のお仕事を手伝うことを終了させていただきます」

 ヴィクターは眉を顰める。

「どういう意味だ?」

「申し上げたとおりです。今後、ヴィクター様のお仕事について私がお手伝いすることはございません」

 彼は困惑した表情を浮かべた。

「そんなことを言わなくてもいいじゃないか。婚約を解消したからといって、僕の仕事を手伝うことをやめなくてもいいだろう」

 私は思わずヴィクターの顔を見る。

 どうしてそんなことが言えるのだろう?

 今までは婚約者だからこそ支えなくてはと思い、彼の仕事を手伝ってきた。

 だが、もう私たちは婚約者ではない。彼はエイミーを選んだのだ。

 それなのに、私には今までどおり彼を支えろというのだろうか?

 そんな義理はない。

「ヴィクター様」

「何だ?」

「私は貴方の婚約者だったからこそ、お力になりたいと思っておりました。ですが、婚約を解消する以上、これからはご自身でなさってください」

 ヴィクターは言葉を失ったように呆けていたが、やがて不機嫌そうに眉を寄せる。

「君は……そんなに冷たい女性だったのか?」

 冷たいと言われても、私は不思議なほど落ち着いていた。

 この人も私のことを何も分かっていなかったのね。

「そうかもしれませんわね」

 私はふっと微笑む。

「今まで気づきませんでしたわ」
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