クールな想太くん
──翌朝。

「雨宮想太です。よろしくお願いします。」

無表情で挨拶をする雨宮想太という男。見竹が口が抑え、目をキラキラと輝かせるほどに顔は良い。

「えぇ、よろしく。インターネット事件特化部へようこそ。歓迎するわ。」

風見が代表でそう言った。雨宮は特に何も思わなかったのか、小さく「ッス」と返すだけだった。
無愛想と言えばそうだが、この場では全く異質でなかった。
明るすぎる天然ポンコツ・見竹。冷静沈着の理屈男・海堂正行。胃が弱すぎるおっとり・北川宏大。唯一の常識人・風見千夏。この中に無愛想イケメン・雨宮想太が追加された。それだけだ。

「……で。今はどんな事件を追っているんですか。」

少しだけ雨宮の目が光った…ような気がした。それに引き換え四人全員目を逸らした。

「………なんスか。」

少し目を輝かせた雨宮を見て、ギクっ、として、もごもごと申し訳なさそうな顔をしながら言った。

「いや…ごめんね!雨宮くん!事件に携われると喜んでるところ悪いんだけどさ──」

見竹の言葉を遮って、海堂がメガネを押しながら真顔で言い放った。

「端的に言おう。今、我々は事件を追っていない時期だ。」

雨宮は目を細めて、がっかりしたように、

「……暇人。」

見竹が半泣きで、頭を抱えた。

「ごめんそれはちょっと刺さるかも!!」

見竹の頭をポンッ、と撫でてから、少し困ったように、でも納得したような落ち着いた声で、

「事実だから仕方ないわよ。
インターネット関連でも民事とか刑事とかに持ってかれることが多いし、正直そこまで量は多くない。」

雨宮は「期待外れ」と言わんばかりにため息をついてから、

「つまり、おこぼれだけしかここには回ってこないってことスか。」

北川が遠い目をした。

「つまり、そういうこと……かなぁ、あは。」

その後、雨宮を見てから少し迷ったように、

「でもね、俺らに回ってくるのは刑事でも民事でも解決できなかった面倒くさくて、難しいものなんだ。
あと…頭のおかしい事件ばかりが回ってくるんだ。」

北川は少し俯いた。
海堂も、パソコンを触る手を止めた。見竹も少ししんみりした。風見だけが変わらないが、一瞬見竹を撫でる手が止まった。

風見は自虐するように、

「怪奇事件。それも私たちに回ってくるの。
どうせ暇なんでしょ、って。失礼よね。」

見竹はムカついたように腕を組んで、明らかに「怒っています」オーラを出して、

「元々面倒臭い事件ばっかりやってるのに意味が分かんない事件も回されてくるんですよ…!」

海堂が単調に、動揺もなく言う。

「黒い影が纏わりついてくる、ピアノの音が一階から毎夜聞こえてくる、地震は起きていないはずなのに自分の家だけが揺れる、腐ったような匂いが何もないはずの水道管からする。……全く分からない状態ながらも俺たちは全部検証した。…何もなかった。」

北川は困ったように、

「絶対に僕達の管轄じゃないものまで回ってくるんです……。」

雨宮は少し黙った後、

「何見えない力が働いていないとあり得ない事件が、暇そうだからなんとか処理して依頼者の対応しろってことでこの部署に回ってくるんですね。」

風見が雨宮を見た。

「言い方は…アレだけど、実際そうよ。」
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