大正初恋浪漫譚ー突然、陸軍少尉の婚約者になりましたが、彼は二年前から私に恋をしていたようですー
いったい、何を話せばよいのだろう。
そんな小春の様子に気づいたのか、千紘は少しだけ表情を和らげた。
「……あまり、緊張なさらないでください」
「き、緊張などしておりません!」
思わず、いつもの調子で言い返してしまった。
千紘は一瞬目を見開き、それから小さく笑った。
「それは失礼いたしました」
「……もう」
小春は頬を膨らませた。
けれど、不思議と嫌な気持ちはしなかった。
むしろ、ほんの少しだけ、彼との距離が近づいたような気がした。
千紘は、そんな小春の横顔を、そっと見つめた。