こっちを、むいて。
先着がいた。
受験勉強の息抜きだって言ってひょっこり顔を覗かせているのは、颯太だ。
…保泉颯太。
オレの2個下で中3。
アイツの、弟。
颯太に聞かされて興味を持って
気づいたら気になって仕方がなくなって
構ってみたら…ほんと、おもしろくて
コイツの隣にいたいって思うようになって
恋、してた。
「颯太勉強は?うるさい姉ちゃんに怒られるんじゃないの?」
「いいんだよ!おれは誰がなんと言おうと大天才さまだからな!それよりゆうくん!今日も教えて」
「分かったからちょっと待って」
前のめりになる颯太を宥めてからオレはギターを取り出し、いつものようにチューニングを始めた。
…ん?
なんか、音が…。
ってか、オレ。
「ゆうくん?どした?」
鈍い痛みがこめかみあたりに走って眉間に皺を寄せると颯太がオレの顔を覗き込んできた。
「大丈夫。なんでもない」
そう言って再び弦に触れるも頭痛が酷くなるばかりで。
それなのに、
それなのに…。
「颯太ごめん。やっぱちょい体調悪いから帰るわ。クリスマスん時、ライブ前颯太のチューニング手伝ってくれた斉藤さん今日来るからオレの代わりに見てもらって」
「あ、うん。分かった。ゆうくん、お大事に」
「うん。じゃ」
オレは足早に貸しスタジオから出ると駅前の通りを抜け、ひたすら真っ直ぐ歩いた。
途中で右に折れて少し歩く。
地元で有名な鐘の隣に目的地はある。
一旦ここで休憩…
そう思い、足を踏み出そうとした、
その時。
ゴーンゴーンゴーン…。
鐘が鳴った。
18時を知らせる鐘だ。
幼い頃から何度も聞いてきたその音が1番大きく感じた。
そして、鳴り止んだと同時に
プツン…
と、音を立てて
オレの中の何かが切れた。
音が消えた。
目覚めてから眠りにつくまで
ひっきりなしに鳴っていた脳内BGMが
無くなった。
心地よい音色が消え
代わりに砂嵐のようなノイズが脳内を舞う。
「…んだよ、これ」
オレは踵を返した。
ひとまず公園で暇を潰してから帰ろう。
そう、思った。
受験勉強の息抜きだって言ってひょっこり顔を覗かせているのは、颯太だ。
…保泉颯太。
オレの2個下で中3。
アイツの、弟。
颯太に聞かされて興味を持って
気づいたら気になって仕方がなくなって
構ってみたら…ほんと、おもしろくて
コイツの隣にいたいって思うようになって
恋、してた。
「颯太勉強は?うるさい姉ちゃんに怒られるんじゃないの?」
「いいんだよ!おれは誰がなんと言おうと大天才さまだからな!それよりゆうくん!今日も教えて」
「分かったからちょっと待って」
前のめりになる颯太を宥めてからオレはギターを取り出し、いつものようにチューニングを始めた。
…ん?
なんか、音が…。
ってか、オレ。
「ゆうくん?どした?」
鈍い痛みがこめかみあたりに走って眉間に皺を寄せると颯太がオレの顔を覗き込んできた。
「大丈夫。なんでもない」
そう言って再び弦に触れるも頭痛が酷くなるばかりで。
それなのに、
それなのに…。
「颯太ごめん。やっぱちょい体調悪いから帰るわ。クリスマスん時、ライブ前颯太のチューニング手伝ってくれた斉藤さん今日来るからオレの代わりに見てもらって」
「あ、うん。分かった。ゆうくん、お大事に」
「うん。じゃ」
オレは足早に貸しスタジオから出ると駅前の通りを抜け、ひたすら真っ直ぐ歩いた。
途中で右に折れて少し歩く。
地元で有名な鐘の隣に目的地はある。
一旦ここで休憩…
そう思い、足を踏み出そうとした、
その時。
ゴーンゴーンゴーン…。
鐘が鳴った。
18時を知らせる鐘だ。
幼い頃から何度も聞いてきたその音が1番大きく感じた。
そして、鳴り止んだと同時に
プツン…
と、音を立てて
オレの中の何かが切れた。
音が消えた。
目覚めてから眠りにつくまで
ひっきりなしに鳴っていた脳内BGMが
無くなった。
心地よい音色が消え
代わりに砂嵐のようなノイズが脳内を舞う。
「…んだよ、これ」
オレは踵を返した。
ひとまず公園で暇を潰してから帰ろう。
そう、思った。