木の下の奏者たち― 桜の木がつないだ声 ―
祖母の話を聞いて、妖精だと思っていた存在が、実は過去の時代に生きている人間だったなんて。
(……なんだか夢を見ているみたい。
それも、とびきり不思議な夢)
ふと、思い出したことがあって、楓は口を開いた。
「かなたさん、さっき尺八の音がしたのですが、かなたさんが吹いていたんですか?」
「そうですよ。どうして尺八だと分かったんですか」
「学校の授業で聞いたことあるんです。実は私――」
楓は、自分が手に持っているものに目を落とした。
「私はヴァイオリンを弾いているんです。今日もここで弾こうと思って、持ってきたんです」
「ヴァイオリン!!それはすごいですね。ヴァイオリンという楽器があるのは知っていますが、とても高価なものなので、実物を見たことがないんです」
かなたは興奮した様子で言った。
「よければ、楓さんの演奏を聴かせてもらえませんか」
(え……?)