木の下の奏者たち― 桜の木がつないだ声 ―
第3話 演奏
突然のリクエストに驚いたけれど、楓はなんとか返事をする。
「はい。あ、でも、少し緊張します……」
かなたは声に出して笑った。
「それもそうですね。すみません、突然お願いしてしまって」
それから、考えるような間があった。
「それなら、二人で演奏してみませんか。
僕はこの尺八を吹きます。
あ、でも、二人で演奏できる曲はあるかな」
かなたに言われ、楓はふと、ある曲を思い出した。
祖母がよく歌ってくれた曲だ。正確な年代は分からないけど、かなり古い曲だったはず。
「祖母が好きだった曲なんですが、これはどうでしょうか」
楓が曲名を告げると、かなたは黙りこんだ。
知らない曲だったのだろうか。
楓は心配になり、声をかけた。
「かなたさん……?」