木の下の奏者たち― 桜の木がつないだ声 ―
やがて曲は終盤を迎え、二つの音が余韻を残しながら消えていった。
演奏を終えると、あおとは尺八を口元から離した。
そして、少し照れたように楓を見て、微笑んだ。
その表情が、かつて夢の中で見たかなたの姿と重なった。
その瞬間、楓は思い出した。
夢の中で見た、かなたの顔。
確かなぬくもり。
楓の頬を、一筋の涙が伝った。
(ああ……。
あの夢に出てきたのは、かなたさんだったんだ。
かなたさん。私たち、本当に会っていたんだよ。
この不思議な木は、私たちを会わせてくれていたんだ。
あの夢は、ただの夢じゃなかった。
私とかなたさんの、二人の思い出だったんだ……。
そして、最後に見たあの夢も――)
過去に手紙を送ることができたなら、どんなにいいだろう。
そうしたら、こう書いたのに。
楓は桜の木を見上げ、ふわりと笑った。
「ずっと、ずっと、大好きでした」
