ヒミツの身代わり王子様
Ⅲ 決意のハサミ
放課後、いつもならすぐにふたりきりの秘密の場所に移動する時間だったが、梨乃は「今日はちょっと用事があるから先に行ってて」と琥珀にLINEを送った。
既読がすぐにつき、『え、どこ行くの? 寂しいんだけど』とスタンプ付きで返事が来る。
その甘えてくる文面を見て、胸がキュッと締め付けられたけれど、梨乃はぐっとこらえてスマホをポケットにしまった。
向かったのは、駅から少し離れた梨乃の毎月通う美容院だった。
鏡に映る、腰のあたりまである綺麗な黒髪。
美容師に「本当に切ってもいいのですか?」と驚かれたが、梨乃は迷わなかった。
「はい。……バッサリ。ボブにしてください」
ザクッ、ザクッと、これまでの思い出の詰まった髪が軽快な音を立てて床に落ちていく。
鏡の中で自分のシルエットがみるみる変わっていく。冷たい風が、急に軽くなった首筋を撫でた。
「似合うかな……。琥珀くん、驚いてくれるかな」
不安と期待が入り交じりながらも、生まれ変わった自分を鏡で見つめ、梨乃は小さく息を吸い込んだ。
既読がすぐにつき、『え、どこ行くの? 寂しいんだけど』とスタンプ付きで返事が来る。
その甘えてくる文面を見て、胸がキュッと締め付けられたけれど、梨乃はぐっとこらえてスマホをポケットにしまった。
向かったのは、駅から少し離れた梨乃の毎月通う美容院だった。
鏡に映る、腰のあたりまである綺麗な黒髪。
美容師に「本当に切ってもいいのですか?」と驚かれたが、梨乃は迷わなかった。
「はい。……バッサリ。ボブにしてください」
ザクッ、ザクッと、これまでの思い出の詰まった髪が軽快な音を立てて床に落ちていく。
鏡の中で自分のシルエットがみるみる変わっていく。冷たい風が、急に軽くなった首筋を撫でた。
「似合うかな……。琥珀くん、驚いてくれるかな」
不安と期待が入り交じりながらも、生まれ変わった自分を鏡で見つめ、梨乃は小さく息を吸い込んだ。