呉服王子のギャップがメロすぎです!~料理上手な御曹司に胃袋ごと捕まりました~
「結衣」

 返事を乞うような切実な声に、とにかくなにか言わねばと口を開こうとしたとき。

「あのー、私もいるんですが」

 割って入った声に、ふたり同時に顔を向ける。テーブルに肘をついた両手を絡ませ、その上にあごを乗せた優ちゃんが、しらーっとした目で私たちを見ていた。

 「あ……」
 
 すっかり忘れていた。ここまでの柊真さんとのやり取りを見られていたのだと気づき、顔が一気にカーっと熱くなっていく。

「あ、あの柊真さん、この子は――」

 優ちゃんを紹介しようと半分焦りながら柊真さんの方を見たら、彼は両目を大きく瞠ったまま優ちゃんの顔を凝視していた。

「女の……子?」

 柊真さんが『信じられない』とでもいうような声でつぶやいた。

 優ちゃんは柊真さんに向かってニッコリと微笑む。

「はじめまして、二宮優希と申します。結衣とは〝女子校〟時代から仲良くさせてもらっています」

 瞬間、柊真さんは脱力したようにその場にへたり込んだ。その拍子に、ゴンッと盛大な音がする。テーブルの縁で頭を打ったようだ。

「柊真さん⁉」

 慌てる私の向かいで、優ちゃんがプハッと噴き出した。
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