呉服王子のギャップがメロすぎです!~料理上手な御曹司に胃袋ごと捕まりました~
これは夢……?
目を見開いたまま微動だにできずにいる私に、彼は「本当だよ」と甘い声でささやく。
「満開の桜の下で俺の作った弁当を幸せそうに食べる君を見て、どこの誰ともわからないのに、また自分の料理を食べてほしいと思ったんだ」
嘘……柊真さんがそんなふうに感じてくれていたなんて。
「あの日弁当を作ったのは、ほんの思いつきだったんだ」
柊真さんは懐かしむような目をして、一年前を語りはじめた。
彼が花桐呉服に入ったばかりの頃、ちょっとでも失敗すれば『後継ぎのくせに』や『母親が外国人だから』などと言われ、見た目や血筋のことで陰口をたたかれることが多かったという。そんな声をねじ伏せるために、彼は人の何倍も努力を重ねていった。
けれど仕事に没頭するあまり、調理どころか食事自体への興味が薄れていく。
多忙の合間に取る食事は、活動のための最低限のエネルギー摂取というだけ。後継者として着実に足場を固めていく一方で、なにか自分の内側が空虚なものになっていく気がしていた。
そうして副社長就任を目前に控えた三月末。
とある雑誌で料理研究家との対談が決まり、会話の内容を膨らませるために、その料理研究家が出している本からいくつかのレシピを作ってみたそうだ。
もともと料理が好きだったというのもあり、あれもこれもと試してみた。
結果、自宅で食べるだけでは消費が追いつかないほどの量ができ上った。
捨てるのはもったいないからと弁当箱に詰めて出勤したはよいが、オフィスで自作の弁当を広げるのはなんとなく気が引ける。だれかに根ほり葉ほり聞かれるのも嫌だった。
ちょうど午後から外出予定があったため、あの公園で食べることにしたそうだ。
目を見開いたまま微動だにできずにいる私に、彼は「本当だよ」と甘い声でささやく。
「満開の桜の下で俺の作った弁当を幸せそうに食べる君を見て、どこの誰ともわからないのに、また自分の料理を食べてほしいと思ったんだ」
嘘……柊真さんがそんなふうに感じてくれていたなんて。
「あの日弁当を作ったのは、ほんの思いつきだったんだ」
柊真さんは懐かしむような目をして、一年前を語りはじめた。
彼が花桐呉服に入ったばかりの頃、ちょっとでも失敗すれば『後継ぎのくせに』や『母親が外国人だから』などと言われ、見た目や血筋のことで陰口をたたかれることが多かったという。そんな声をねじ伏せるために、彼は人の何倍も努力を重ねていった。
けれど仕事に没頭するあまり、調理どころか食事自体への興味が薄れていく。
多忙の合間に取る食事は、活動のための最低限のエネルギー摂取というだけ。後継者として着実に足場を固めていく一方で、なにか自分の内側が空虚なものになっていく気がしていた。
そうして副社長就任を目前に控えた三月末。
とある雑誌で料理研究家との対談が決まり、会話の内容を膨らませるために、その料理研究家が出している本からいくつかのレシピを作ってみたそうだ。
もともと料理が好きだったというのもあり、あれもこれもと試してみた。
結果、自宅で食べるだけでは消費が追いつかないほどの量ができ上った。
捨てるのはもったいないからと弁当箱に詰めて出勤したはよいが、オフィスで自作の弁当を広げるのはなんとなく気が引ける。だれかに根ほり葉ほり聞かれるのも嫌だった。
ちょうど午後から外出予定があったため、あの公園で食べることにしたそうだ。