呉服王子のギャップがメロすぎです!~料理上手な御曹司に胃袋ごと捕まりました~
「結衣、好きだ」

 ギューッと強く抱きしめられ、心臓がうるさいくらいに音を立てている。彼の着物の胸元を控えめに握ったら、頬に大きな手が添えられた。促されるようにして顔を上げると、すぐそこにきれいな顔があった。

 緑がかった薄茶色の瞳が熱を帯びている。ゆっくりと近づいてくる顔にまぶたを下ろしたとき、コンコンとノックの音がした。

 ビクッと全身が大きく跳ね、彼の腕から離れる。そんな私を見て柊真さんはフッと息を吐くように笑うと、ドアに向かって「どうぞ」と返事をした。入ってきたスタッフたちがテーブルに料理を並べ始める。

 私は庭を見るふりをして、湯気が出そうなほど熱くなっている顔を、必死に冷ました。

「冷めないうちにいただこう」

 柊真さんが椅子を引いて私に着席を促す。料理が運ばれてきたのに立ちっぱなしなのは行儀が悪い。気持ちを切り替えて、私は椅子に腰を下ろした。

「わあ、すごくきれい!」

 気恥ずかしさもあり、少し大げさに声を上げてしまったけれど、決して嘘は言っていない。
 前菜として出された一皿には、鯛(たい)のお刺身に色とりどりの野菜ソースが掛けられている。まるで絵画のようで、食べるのがもったいないくらいきれいだ。

 和と洋を合わせた創作会席は、このレトロな洋館と雰囲気がぴったりだ。
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