金庫の中の兄貴

【01 金庫の中の兄貴】

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・【01 金庫の中の兄貴】
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 夏休みの自由研究として、開かずの金庫を探していたら、ぽいのを見つけたんだけども、その金庫の持ち主である民宿のおじさんに聞いたら、開かずの金庫じゃなくて、どんな鍵でも開く金庫だって。
 でもその通りで、裕子(ゆうこ)が自転車の鍵で開けたら、無くしたはずの自転車のヘルメットが出てきて、民宿のおじさんが泥棒をしたと疑って。
 甚太(じんた)がへそくりの引き出しの鍵で開けたら、お金が何度も何度も出てきて。
 じゃあ私が今、自分の家から持ってきた、この鍵なら、ちゃんと”手掛かり”が出てくるのかな。
 私は、ホクホク顔で「何度も開け閉めしてお金を出し切ったぜ!」と言う甚太のことは無視して、金庫の前でしゃがんで改めて金庫を閉じてから、私はこの鍵で開けた。
 すると、なんと、金庫の中からは……!
「ん? 真奈(まな)か? えらい老けたな、ジジイの趣味みたいなもんができたのか?」
「うわぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
 私はそのまま腰を抜かすように、尻もちをついた。
 裕子も私とユニゾンするように大きな声を荒らげて、多分ボディバッグに詰めたお金を眺めていて、唯一こっちを見ていなかっただろう甚太が時間差で叫び声を上げた。
 中から出てきた私の”兄貴”は笑いながら、
「何、大勢でデカい声を出して耳障りだな。女はまだしも男のほうもさ。情けないなぁ、こういう男はさ」
 こういうアップデート出来ていない感じ、間違いない、これは私の兄貴だ。
 でも、姿かたちは本当にあの頃のまま、小学三年生のままの、そう”失踪した日のままの兄貴”だった……!
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