……もう、好き、じゃありません!
Ⅳ
「じゃあな、夏音」
「うん、また明日」
図書室での居残りを終えて校舎を出ると、そこにはなぜか、まだ部活のジャージを着たままの拓海がいた。
「なんでまだいるの?」と聞けば、「お前が遅いから待ってた」と涼しい顔で返す。
偶然ではなく、明らかに必然のように、二人きりの時間が作られていく。
並んで歩く帰り道、街灯がぽつりぽつりと灯り始める。
隣を歩く拓海の肩が、時折ふっと触れる。そのたびに、胸の奥がざわついて仕方がなかった。
(ダメだ、せっかく決意したのに……これじゃあ、なんの意味もないじゃない)
「あのさ、夏音」
静寂を破るように、拓海が低めの声で言った。
「……なに?」
「最近さ、俺たちの距離、なんか変じゃね?」
「変じゃない。これが普通の距離だから」
「嘘つけ。前はもっと……もっと自然に俺の隣にいただろ。腕組んできたり、ジュース一口くれって言ったりさ」
ドキリ、と心臓が跳ねる。
昔は当たり前のようにしていたスキンシップを、今さらそんな風に指摘しないでほしい。忘れたくて必死に壁を作っているというのに、拓海は無自覚にその壁を揺らしてくる。
「そんなの……子供のときの話でしょ。もう中学生だし、ベタベタするの恥ずかしいし」
「恥ずかしい?」
拓海がふっと足を止め、私を振り返った。街灯の光の下、彼の瞳がまっすぐ私を射抜く。
「……俺は、嫌じゃなかったけどな」
その言葉に、息が止まりそうになった。
「うん、また明日」
図書室での居残りを終えて校舎を出ると、そこにはなぜか、まだ部活のジャージを着たままの拓海がいた。
「なんでまだいるの?」と聞けば、「お前が遅いから待ってた」と涼しい顔で返す。
偶然ではなく、明らかに必然のように、二人きりの時間が作られていく。
並んで歩く帰り道、街灯がぽつりぽつりと灯り始める。
隣を歩く拓海の肩が、時折ふっと触れる。そのたびに、胸の奥がざわついて仕方がなかった。
(ダメだ、せっかく決意したのに……これじゃあ、なんの意味もないじゃない)
「あのさ、夏音」
静寂を破るように、拓海が低めの声で言った。
「……なに?」
「最近さ、俺たちの距離、なんか変じゃね?」
「変じゃない。これが普通の距離だから」
「嘘つけ。前はもっと……もっと自然に俺の隣にいただろ。腕組んできたり、ジュース一口くれって言ったりさ」
ドキリ、と心臓が跳ねる。
昔は当たり前のようにしていたスキンシップを、今さらそんな風に指摘しないでほしい。忘れたくて必死に壁を作っているというのに、拓海は無自覚にその壁を揺らしてくる。
「そんなの……子供のときの話でしょ。もう中学生だし、ベタベタするの恥ずかしいし」
「恥ずかしい?」
拓海がふっと足を止め、私を振り返った。街灯の光の下、彼の瞳がまっすぐ私を射抜く。
「……俺は、嫌じゃなかったけどな」
その言葉に、息が止まりそうになった。