……もう、好き、じゃありません!

Ⅴ

「――っ、ずるいよ、そんなこと言わないで!」
思わず声を荒らげてしまった。
「なにが?」
「拓海はさ……私がずっと好きだったこと知ってて、なのにずっと普通にしてて……! 私が諦めるって言ったら、今さらそんな……なんなのよ!」

自分でも驚くほど、声が震えていた。隠したかったはずの未練が、怒りに乗せてあふれ出してしまう。
拓海は目を見開いたあと、少しだけ苦しそうな、切なげな顔をした。

「……知らなかったんだよ。お前がそんなに、本気だったなんて」
「嘘……!」
「嘘じゃねえよ。お前はいつだって俺の隣にいて、笑ってくれてたから……それがずっと続くもんだって、勝手に思い込んでた。だから、お前が離れるって言って、初めて……頭が真っ白になったんだ」

拓海の言葉に、胸が締め付けられる。
それは、私を振ったわけでも嫌いだったわけでもなく、ただ「失う怖さ」に初めて気づいた少年の、不器用な告白だった。

「……知らなかったって言われても、こっちはずっと、何年も片思いで苦しかったんだからね」
ポツリとこぼした本音に、拓海はそれ以上何も言えなかった。ただ、痛いほど真剣な目を私に向けていた。
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